「カラマーゾフの兄弟」が読みにくいか、音声で確かめてみる。

カラマーゾフの兄弟が、読みにくいか、音声で確かめてみる。 カラマーゾフの兄弟
カラマーゾフの兄弟が、読みにくいか、音声で確かめてみる。

オーディオブックは、通勤時に、電車や車の中で聞く、という形態が中心で、
ビジネス書が多い印象がありましたが、いつのまにか、

amazonの聴く読書 「Audible版」が、月額 1500円12万作品以上 が、聞き放題。

今や、スマホやタブレットの、”文字朗読機能”でも、
書籍やテキストを、音声で楽しめたりと、選択肢が増えてきました。

特に古典は、紙の本より、電子書籍や、音声のほうが、抵抗感が薄れ、
内容が、頭に入りやすい気がするのも、確か。

小さな文庫本で、読むのが苦手なら、
電子書籍や、音声朗読機能を使ってみるのも、良さそうなので、試しに作ってみました。
 
 

「カラマーゾフの兄弟」が読みにくい、は、大嘘!を、音声で確かめてみる

カラマーゾフの兄弟 1 (岩波文庫)  米川正夫 訳

 男性の声

 女性の声

 関西弁

第一扁 ある一家族の歴史

 第一 フョードル・カラマーゾフ

 アレクセイ・カラマーゾフは、本郡の地主フョードル・パーヴロヴィッチ・カラマーゾフの三番目の息子である。このフョードルは今から十三年前に奇怪な悲劇的な死を遂げたため、一時(いや、今でもやはり町でときどき噂が出る)なかなか有名な男であった。しかし、この事件は順序を追って後で話すこととして、今は単にこの『地主』が(この地方では彼のことをこう呼んでいた。そのくせ、一生涯ほとんど自分の領地で暮したことはないのだ)、かなりちょいちょい見受けることもあるけれど、ずいぶん風変りなタイプの人間である、というだけにとどめておこう。つまりただやくざで放埓なばかりでなく、それと同時にわけのわからないタイプの人間なのである。とはいえ、同じわけのわからない人間の中でも、自分の領地に関する細々とした事務を、巧みに処理して行く才能を持った仲間なのである。しかし、それよりほかに芸はないらしい。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)  亀山郁夫 訳

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 関西弁

第1部 第1編 ある家族の物語

 1 フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフ

 アレクセイ・カラマーゾフは、この郡の地主フョードル・カラマーゾフの三男として生まれた。父親のフョードルは、今からちょうど十三年前に悲劇的な謎の死をとげ、当時はかなり名の知られた人物だった(いや、今でも人々の噂にのぼることがある)。しかし、そのいきさつについてはいずれきちんとしたところでお話しすることにし、今はとりあえずこの「地主」(彼は生涯、自分の領地にはまったくといってよいほど、居つかなかったが、このあたりではそう呼ばれていた)について、こう述べるにとどめよう。
 つまり、一風変わった、ただしあちこちで頻繁に出くわすタイプ、ろくでもない女たらしであるばかりか分別がないタイプ、といって財産上のこまごまとした問題だけはじつに手際よく処理する能力に長け、それ以外に能がなさそうな男だと–。

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)  原卓也 訳

 男性の声

 女性の声

 関西弁

第一編 ある家族の歴史

 一 フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ

 アレクセイ・フョードロウィチ・カラマーゾフは、今からちょうど十三年前、悲劇的な謎の死をとげて当時たいそう有名になった(いや、今でもまだ人々の口にのぼる)この郡の地主、フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフの三男であった。この悲劇的な死に関しては、いずれしかるべき個所でお話しすることにする。今はこの<<地主>>について(生涯ほとんど自分の領地で暮したことがなかったのに、彼はこの辺では地主と呼ばれていた)、彼が奇妙な、そのくせかなりしばしば出くわすタイプ、つまり、およそ俗物で女にだらしがないばかりか、同時に常識はずれの、ただ常識はずれと言っても自分の財産上の問題を処理するうえでは大いにやり手で、それだけしか能がないといった感じのするタイプの人間だった、と言うだけにとどめておこう。

 
 
 

「カラマーゾフの兄弟」を朗読した音声を、ランキングにすると…
カラマーゾフの兄弟 1 (岩波文庫)  米川正夫 訳

カラマーゾフの兄弟 1 (岩波文庫)

各ページのデザインや、文字フォントの古さなどの、視覚的な要素ほど、古臭さは感じず、
むしろ、文章が簡潔で、聞きやすい。
音声で聞く分には、このくらい締まった文章のほうが、良さそう。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)  亀山郁夫 訳

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

主人公や、父親の名前の、ミドルネームを省略し、簡素化。
(父親の名前を、フョードル・パーヴロヴィッチ・カラマーゾフ ではなく、フョードル・カラマーゾフ と表記している )
ファーストネームさえわかれば、ストーリー上、問題は無いが、
ディティールにこだわるなら、好みが分かれる部分。
文章のひらがな表記を、多めにして、視覚的には、読みやすいが、
音声にすると、若干、冗長に感じる。

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)  原卓也

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

無難だが、
「今はこの<<地主>>について(生涯ほとんど自分の領地で暮したことがなかったのに、彼はこの辺では地主と呼ばれていた)」
「同時に常識はずれの、ただ常識はずれと言っても自分の財産上の問題を処理するうえでは大いにやり手で、」
という、同じ言葉の繰り返しは、音声にすると、くどく感じる。
「…と言うだけにとどめておこう。」という部分も、文語としては気にならないが、口語向きでは無い印象。

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